農業において、作物の品質や収量を安定させるために欠かせないのが「農業用ハウス」です。一口にハウスといっても、作物や栽培方法によって求められる構造や機能は大きく異なります。例えば、いちごやトマトのように温度や湿度管理が重要な作物と、葉物野菜や育苗用では、最適な仕様がまったく異なります。
そんな中、特に新規就農者など新規設備導入や更新を検討する農家様の中には、「どのタイプを選べばよいのかわからない」ということも少なくありません。
そこで本記事では、作物別のハウス選定ポイントなど導入時に押さえておきたい基本を事例をふまえて解説します。
農業用ハウスは、栽培する作物の特性や管理方法に合わせて選ぶことが重要です。以下は代表的な作物別の例です。
保温性を高めるため、二重ハウス構造が一般的です。夜間の温度低下を防ぎ、果実の品質を安定させます。
日中の温度上昇を防ぐためにサイド換気ができるタイプがおすすめです。また、妻側(ドア上部)に換気窓を設けることで、効率よく温度調整が可能になります。
上記のような葉物野菜の場合、天井の低いハウスが多く採用されます。これは、ハウス内の容積を抑えることで、暖気を保ちながら保温効果を高めるためです。
ハウスの間口(幅)は、作付面積や作業効率にも関係します。目安としては以下の通りです。
表1. 間口毎の用途・作物
| 間口サイズ | 主な用途・作物 |
| 2.5間(約4.5m) | 小松菜・ホウレンソウなど小型作物 |
| 3間(約5.4m) | 一般的な作物全般に対応 |
| 3.5間(約6.3m) | 作付面積を増やしたい場合 |
| 4間(約7.2m) | トマト・キュウリなどのツルもの |
このほか、内張りカーテンや灌水設備の有無など、目的に応じた設備も重要です。いちごハウスなどでは大型化の傾向があり、ウォーターカーテンやサイドミストによる温湿度管理を取り入れるケースも増えています。
また、資材価格の高騰により、現在単棟パイプハウスの導入が増えています。特に新規就農者は初期投資を抑えつつも、将来的な拡張性を考えた農業ハウスを選ぶケースが多いです。
また、生産方式も従来の土壌栽培から高設栽培へ移行する動きが進んでおり、それに対応した農業ハウスが求められています。
農業用ハウスの中でも注目を集めているのが「八角ハウス」です。
もともとは倉庫用(資材・農機具の保管)として開発されましたが、現在では一部で稲の育苗用や大型作物の栽培にも活用が広がっています。
大型八角ハウスは、パイプハウスでありながら鉄骨ハウス並みの強度を持ち、しかも低コストで導入できるのが特長です。
①アンカー不要で仮設扱いにならず、設置コストを削減
②暴風雨に強い高強度設計
③換気性に優れ、暑さ対策に有効
④部分張り替えが可能でメンテナンスコストを低減
規格は間口10.8m・12.6m、ドア高さ3.5m、全高6〜7mまで対応可能です。
当社でも現在までに4棟以上の導入実績があり、低コストで高耐久な次世代型ハウスとして注目されています。
当社では、農業用ハウスや農業用ドローンを中心に、スマート農業を実現した実績が数多くございます。今回はその一部をご紹介いたします。

こちらは、側面に巻き上げビニールを設置した換気付きハウスの導入事例です。高温多湿になりやすい育苗環境で、空気の流れをコントロールして温度・湿度を適切に保つことで、高温障害のリスクを低減。簡単に換気できるため効率的で安定した育苗が可能です。育苗期間外はビニールを閉じ、通常のハウスとして一年中使用できます。

複数棟のハウスを所有するお客様から、移動距離が長く作業効率が下がるとの相談を受け、当社はハウス側面へのドア設置を提案しました。通常は妻面に設けるドアを、動線短縮を優先して側面に施工した結果、ハウス間や内部の移動がスムーズとなり、作業負担を軽減。新設や張替え工事に限らず、お客様の課題に応じた柔軟な仕様変更の提案が可能です。
いかがでしたでしょうか。今回は「農業用ハウスの選定ポイント」を解説いたしました。当社では茨城県・栃木県の農家様を中心に農業用ハウスについて幅広くサポートしております。農業用ハウスに関して、お気軽にお問い合わせください。