日本の米農業は、古くから地域経済と食文化を支えてきました。しかし近年は、病害虫被害の深刻化と農業従事者の高齢化・人手不足という壁に直面しています。加えて、高温障害などの気候変動による影響が稲作に新たなリスクをもたらしています。こうした課題に対して、スマート農業が解決の一手となることがあります。
スマート農業は、ドローン、アシストスーツ、IoTセンサー、AI解析といった最新技術を活用し、生産効率の向上、省力化、そして品質向上を同時に実現します。
本記事では、米農業の現場が抱える課題と、それをどのようにスマート農業が解決できるのかを、当社の導入事例を交えて詳しく解説します。
温暖化の影響もあり、稲の生育期間が長くなり、カメムシ・トビイロウンカ・ニカメイガ・いもち病などの発生時期や被害範囲が拡大しています。特に茨城・栃木では、カメムシの吸汁被害が多く、その結果、斑点米となり等級の低下に繋がります。被害エリアも拡大の一途をたどっており、防除回数も増加傾向にあります。
また、病気や害虫の発生は目視確認に頼るケースが多く、人員不足や作業遅れが発生しやすい現場では早期発見が困難です。その結果、収量だけでなく米の品質にも影響を及ぼし、販売価格の低下につながる恐れがあります。
農業就業人口の平均年齢は約69歳で、若手農業者の減少が続いています。人手不足は、田植えや収穫など短期間に集中する作業の遅延、病害虫管理の後手化、さらには農地の荒廃化を招く深刻な問題です。
特に大規模経営を行う農家ほど労働負担が大きく、機械や人材への投資余力が不足している場合は、規模縮小を余儀なくされる事例も増えています。
上記のような課題を解決するためのツールとして、スマート農業があります。スマート農業に関連した製品は多岐に渡り、それぞれの課題に合わせた製品選定が求められます。
農業用ドローンは、農薬散布やデータ解析など様々な活用方法があります。農薬散布の場合、広範囲の水田に対し均一かつ短時間で散布することが可能です。またGPSやセンシング技術を活用することで、必要な場所に最適な量の農薬を届けることができ、病害虫被害の軽減と農薬使用量の削減が両立できます。従来の背負い式防除に比べて圧倒的に作業負担が少なく、作業時間の短縮にもつながります。
IoT水位センサーとソーラーパネルを組み合わせた灌漑システムは、土壌水分・気温・湿度を常時計測し、自動で給排水を制御します。これにより、用水の無駄を減らし、労働時間を年間数十時間単位で削減できます。高温年でも水位を一定に保ち、品質安定にも寄与します。
田植え後の中腰除草作業や重袋運搬などは、腰や膝に大きな負担をかけます。アシストスーツを着用することで、作業負担を軽減し、腰痛予防にもつながります。特に高齢農業者の作業継続性向上に大きな効果があります。
当社では、農業用ドローンを中心に「米」農家様に向けたスマート農業の支援を行っております。
茨城県の米農家にマゼックス製ドローン「飛助DX23プロ」を導入しました。背負い動噴による部分散布と高温下での作業時間が課題でしたが、導入後は10アール約30分→約1分に短縮し、全体への均一散布も実現。省力化と作業効率向上に効果を発揮しました。
栃木県で米を生産する企業様にマゼックス製ドローン「飛助DX21プロ」を導入しました。農薬散布委託による高コストと薬剤制限が課題でしたが、自社散布に切替え、経費を大幅削減。米への適期かつ多様な薬剤散布が可能となりました。
いかがでしたでしょうか。今回は「米農業の課題に対するスマート農業での解決方法」を解説いたしました。当社では茨城県・栃木県の農家様を中心にスマート農業について幅広くサポートしております。スマート農業に関して、お気軽にお問い合わせください。