ねぎは全国各地で栽培され、日本の食卓に欠かせない重要な野菜です。長ねぎや葉ねぎなど地域ごとの品種も多く、年間を通じて安定的な需要があります。しかし、ねぎ農家の現場では、病害虫による収量低下や深刻な人手不足が大きな課題となっています。
農林水産省の統計によると、日本の農業就業人口はこの10年間で約40％減少しており、高齢化率は68％を超えています。ねぎ栽培は手作業による管理が多く、労働負担の高さが就業継続を難しくしています。
そこで本記事では、ねぎ栽培の課題と、それを解決するスマート農業についてご紹介します。
ねぎは「さび病」「べと病」「黒斑病」などの病害や、「ネギアザミウマ」「ネギハモグリバエ」などの害虫被害を受けやすい作物です。特にネギアザミウマは葉を白く変色させ、市場価値を大きく下げます。また、病害虫の発生は気象条件によって大きく変動するため、防除時期の見極めが難しく、防除作業の遅れが収量と品質に直結します。
ねぎの定植、除草、土寄せ、収穫はすべて腰をかがめて行う作業が多く、特に収穫時には1本ずつ手で抜き、根を切り、葉を揃えるといった細かい工程が必要です。熟練者の減少と新規就農者不足により、繁忙期に人手を確保できない農家も増えています。
上記のような課題を解決するためのツールとして、スマート農業があります。更にスマート農業に関連した製品は多岐に渡り、それぞれの課題に合わせた製品選定が求められます。
農薬散布用ドローンは、広い圃場でも短時間で均一に薬剤を散布でき、作業者の薬剤曝露リスクを減らします。従来の背負式動噴で1時間かかる作業が、ドローンなら10〜15分で完了します。また、近年はAIを活用した病害虫検知システムと連動させ、必要な場所にだけ薬剤をピンポイント散布する技術も実用化されています。
圃場に設置した温湿度・土壌水分・葉面湿度センサーから得られるデータをAIが解析し、病害虫の発生予測を行います。例えば「さび病」の発生リスクが高まる条件（高湿度・低温）を検知すると、自動で警告が届くため、防除タイミングを逃しません。
ねぎ収穫用の自動機械は、圃場を移動しながら地中のねぎを引き抜き、土を落とし、束ねるまでを自動で行えます。これにより収穫作業時間を最大50〜70％削減できます。また、手作業の場面でもアシストスーツを装着することで、腰や背中への負担を軽減し、高齢者でも長時間作業が可能になります。
当社では、農業用ドローンを中心に「米」農家様に向けたスマート農業の支援を行っております。
茨城県のねぎ農家様が、従来の動噴による薬剤散布から、マゼックス製ドローン「飛助mini23プロ（高度レーダー付き）」に切り替えた事例です。
導入前は機械運搬や薬剤準備に半日〜1日かかっていた作業が、導入後は約1時間で完了。さらに粒剤散布装置を活用し、緑肥や粒剤殺菌剤の散布にも応用でき、省力化と効率化に大きく寄与しています。
栃木県でねぎを生産する企業様にマゼックス製ドローン「飛助DX21プロ」を導入しました。農薬散布委託による高コストと薬剤制限が課題でしたが、自社散布に切替え、経費を大幅削減し、ねぎへの適期かつ多様な薬剤散布が可能となりました。
いかがでしたでしょうか。今回は「ねぎ栽培の課題に対するスマート農業での解決方法」を解説いたしました。当社では茨城県・栃木県の農家様を中心にスマート農業について幅広くサポートしております。スマート農業に関して、お気軽にお問い合わせください。
