農業経営に変化をもたらす農業用ドローン、その導入は、作業効率の大幅な向上や、人手不足の解消に大きく貢献します。しかし、高価で精密な機器であるドローンを安全かつ最大限に活用するためには、適切なメンテナンスと日常点検が欠かせません。
この記事では、これからドローンの導入を検討されている方、すでにお持ちで「これでいいのかな?」と不安に感じている方に向けて、農業用ドローンの日常点検とメンテナンスの重要ポイントを解説いたします。
農業用ドローンは、農薬散布やセンシングなど、屋外環境下で作業を行います。したがって、土埃、水分、農薬などの薬剤に常に晒されている状況です。
そのため、適切なメンテナンスを怠ると、機器の故障による予期せぬ出費や、最悪の場合、飛行中の落下や事故につながりかねません。適切な点検・管理は、ドローンの安全な運用、性能の維持、そして長期的なランニングコストの削減に直結する、最も重要な作業なのです。
メンテナンスと日常点検のポイントは、大きく「機体管理」「バッテリー管理」「保管場所の管理」の3つに分けられます。
農業用ドローンの機体管理で最も注意すべきは、農薬(薬剤)による腐食です。
ドローンが散布する農薬には、成分によっては機体の金属部分や樹脂部品を徐々に劣化させるものがあります。散布作業が終了したら、その日のうちに真水または中性洗剤を用いて、機体全体、特にノズルやポンプ周りを丁寧に水洗いし、薬剤を完全に洗い流してください。その後、自然乾燥または布で水分を拭き取ります。
「後で使うから」と、農薬(希釈液)をタンクに入れっぱなしにするのは非常に危険です。農薬の成分が、タンクとポンプを繋ぐ塩化ビニル製のホースやパッキンと反応し、「シャリシャリ」とした結晶化(固形化・劣化)を引き起こし、最終的にホースの溶解や破損につながることがあります。
したがって、使用しないときは、必ずタンク内の農薬を排出し、ポンプや配管内に残らないよう真水で循環洗浄を行ってください。このひと手間が、余計な部品交換や高額なメンテナンスコストを低減することに繋がります。
飛行前には、プロペラにヒビや欠けがないか、モーターに土埃や異物が詰まっていないかを確認してください。小さな傷でも飛行中のバランスを崩し、振動や事故の原因となります。
リチウムポリマー(Li-Po)バッテリーはドローンの性能を左右する重要部であり、最も高価な消耗品の一つです。適切に管理すればランニングコストを大幅に抑えることができますが、管理を怠ると余計なコストがかかってしまいます。
バッテリーは、満充電(100%)の状態が長いほど極端に劣化が進み、逆に完全放電(0%)の状態になってしまうと再充電ができなくなってしまいます。
バッテリーは基本的に50%以上残して保管する必要があります。理想的には60%程度で保管することが、寿命を延ばす最良の方法です。
注意点としては、Li-Poバッテリーは自然放電をするため、長期間放置すると残量が減りすぎ、最悪の場合、再充電ができなくなることがあります。3ヶ月に一度は残量をチェックし、必要に応じて充電・放電を行いましょう。
また、異常な膨張に注意 が必要です。バッテリーを使用していくと、内部での化学反応や過充電などにより、ガスが発生して膨らんでくることがあります。バッテリーが膨らんだ状態は、非常に不安定で危険であり、衝撃が加わった瞬間に火災や爆発につながる可能性があります。対策として、膨らみが確認されたバッテリーは、絶対に充電・使用せず、速やかに適切な方法で廃棄してください。
Li-Poバッテリーは温度変化に敏感です。一般的に10~15℃(低温時)を下回ると、性能が一時的に低下し、最悪の場合、正常に稼働しないことがあります。寒い時期には、作業前にヒーターなどでバッテリーを適温(20℃程度)に戻す必要があります。
一方、暑すぎる環境で保管・使用すると、熱暴走が発生しやすくなり、劣化や事故のリスクが高まります。
理想的には10℃から30℃の範囲で保管することが推奨されます。特に夏場の車内など、高温になりやすい場所での放置は絶対に避けてください。
ドローンの保管場所は、機体の安全と寿命を守る上で非常に重要です。
環境と温度の管理
前述のバッテリー保管温度を満たし、湿気が少なく、直射日光が当たらない場所を選んでください。屋内の定温・定湿環境が理想的です。
動物・害獣対策
意外と見落とされがちなのが、動物による被害です。特に倉庫や納屋などで保管する場合、ネズミなどの小動物がドローンの配線をかじってしまう事故が発生することがあります。これはショートや火災、次回の飛行時の事故に直結します。
対策として、ドローンは地面に直置きせず、棚の上など動物が触れにくい場所に保管するか、専用の頑丈なケースに入れて保管してください。
いかがでしたでしょうか。今回は農業用ドローンについて、メンテナンス・日常点検について解説いたしました。当社では農業用ドローンの販売から保守運用、また教習に至るまで幅広くサポートしております。またご希望がございましたら、デモ飛行も実施しております。農業用ドローンに関して、お気軽にお問い合わせください。