米は、日本の主食として古くから親しまれてきた農作物であり、国内農業の中核を担っています。全国各地で多様な品種が栽培され、地域ごとの気候や風土を活かした米作りが行われています。しかし現在、米の生産は大きな課題に直面しています。まず、過剰供給や消費量の減少により、米の価格が安く収益性が低下しています。また、気候変動の影響で病害虫被害の拡大や、収穫量や品質の低下が懸念されています。さらに、農業従事者の高齢化が進み、若手の担い手が不足しており、将来の生産体制に不安が残ります。これらの課題解決には、技術革新や販路拡大など、多面的な取り組みが求められています。
地球温暖化の影響により、イネに被害を及ぼす病害虫（ウンカ類・いもち病など）の発生時期や地域が拡大しています。これにより、従来の経験や勘だけでは対応が難しく、収量や品質の安定性が損なわれつつあります。
こうした病害虫対策には、農業用ドローンの活用が有効です。農業用ドローンは、広範囲の水田に対し均一かつ短時間で農薬を散布することが可能です。GPSやセンシング技術を活用することで、必要な場所に最適な量の農薬を届けることができ、病害虫被害の軽減と農薬使用量の削減が両立できます。従来の背負い式防除に比べて圧倒的に作業負担が少なく、作業時間の短縮にもつながります。
米農家では高齢化が進み、従来のような家族経営や地域の協力体制による作業分担が難しくなっています。特に、真夏の防除作業などは体力的にも厳しく、若手の担い手がいない地域では深刻な労力不足に直面しています。
こうした人手不足への対策として、農業用ドローンが活用できます。農業用ドローンは、一人でも操作可能なため、従来複数人で行っていた農薬散布作業を大幅に省力化できます。リモコン一つで自動航行させることができる機種も増えており、高齢の方でも扱いやすい設計となっています。また、夜間や早朝など気象条件の良い時間帯に作業ができる柔軟性も、作業負担の軽減に貢献しています。
